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下記の「医薬化学部会設立の経緯と背景」は、本部会の設立メンバーとして、また第2代部会長として本部会発展に尽くされました 廣部 雅昭氏(現静岡県立大学学長、東京大学名誉教授)により執筆され、本部会誌MEDCHEM NEWSの第1巻第1号に掲載されました。
医薬化学部会設立の背景と経緯
医薬化学部会設置準備委員長
東大薬学部 廣 部 雅 昭
医薬化学部会は日本薬学会初の[部会]として平成2年7月に設立された。以下設立に至るまでの背景と経緯について述べたい。
近年薬学関連領域における急速な専門の分化傾向と、それぞれの学問・研究の著しい進歩発展に対し、総合科学性の高い 薬学本来の姿を維持しつつ、これら諸分野の一層の発展、研究活動の活性化をはかるためには、薬学会の中にそれぞれの専門分野に 対応した[部会]を設置し、自由度の高い独自の活動を積極的に支援し、それらを通じより緊密な学際的連携ならびに国際的あるいは 国内的な他学協会などとの円滑な対応をもはかる必要があるとの認識が高まって来た。昭和61・62年度運営計画委員会からの [研究活動に対する学会としての支援体制について]の提案、 および63年度理事会から同委員会への[部会制度設置についての検討]の 諮問はそれらを反映したものといえる。
一方63年度理事会(川崎会頭)においてはIUPACのMedicinal Chemistry Sectionとの国際対応問題が急浮上し、その受け皿と して本薬学会の中に早急に相当する[部会]を設置し、具体的対応をはかる必要があるとの認識のもとに、運営計画委員会への諮問と 並行しつつ、理事会として[医薬化学部会]に限定して、その設置の可能性について検討を行った。
[医薬化学部会]に包含される領域は、すでに本学会の中でも専門横断的な学際領域として十分定着する機が熟していたと いえる。すなわち日本薬学会第100年会を期して設けられた年会の[医薬品化学部会]、また学会主催のメディシナルケミストリー シンポジウムなど既に10年の歴史を数え、それぞれ量・質ともに最も充実した研究領域の一つとして発展を見るに至っている。 さらに7年前より薬学会唯一のセミナーとして[創薬セミナー]が開設され、産・学・官協調の大いなる実を上げている。 一方国際対応としては、従来日本化学会が中心となって対応してきた日米化学会年会、環太平洋国際化学会議などの中での メディシナルケミストリー関連部門は日本薬学会が実質的な対応をなしてきた経緯があり、さらにそのような背景の中でIUPACの Medicinal Chemistry Sectionへの日本代表は薬学会関係者(第一製薬前副社長 古賀博士)が選任されている。 しかしこれは国内的なコンセンサスであって、必ずしも上記部門の受け皿が日本薬学会であるとの国際的認識が確立しているとは 言えないのが実情であった。このような内外の諸情勢を踏まえた上で、本学会として[医薬化学部会]を設置し、この分野の 研究活動を格段に活性化するとともに、対外的な諸活動をきめ細かく推進して行くことが極めて重要であるとの結論に達し、 前記運営計画委員会への一般的な[部会]設置に関する諮問と併せ、平成元年度理事会(野島会頭)は[医薬化学部会]設立を 前提とした準備委員会を発足させた。
準備委員会は約一年をかけて、広く関係者の意見を聴取するとともに、運営計画委員会での審議と並行して慎重に準備を 進めて来たが、本部会設立を待望する非常に多くの意見を確認した上で、部会内規、事業計画、部会役員名簿を添えて、平成2年 3月設立申請書を提出した。理事会は運営計画委員会の答申に基づき、部会審議委員会を設け、部会設置規定等の策定と併せ申請書の 審議を行い、その報告に基づき平成2年7月の理事会で正式にその発足を決定し、永田亘氏を初代部会長に任命した。さらにIUPAC ならびに日本学術会議、国内関連学協会に対し、この旨を通知し理解と協力を要請した。
部会役員は産・学のバランス、専門分野も考慮し、全国的視野に立って準備委員会で決定された。部会日本語名称については 当初より種々の論議があったが、関係者の大方の意見を集約した上で、最終的に[医薬化学部会]に決定された。事業計画としては メディシナルケミストリーシンポジウム、創薬セミナーの企画・運営に加えて、新たに部会年会(秋期研究発表会)の前記 シンポジウムとの併催、各種講演会・講習会の開催、小規模研究会の多催、ニュースレターの発行、IUPAC対応など積極的な 国内・外活動などが予定されている。
部会は学会の一専門組織である。今後同様の専門部会が組織され、支部組織と部会組織をそれぞれ縦糸、横糸として学会が 発展して行く理想像を思い描いているが、本医薬化学部会はその試金石となる。財政、運営など難しい問題はあるが、理事会、 事務局の理解と協力で是非成功させたいと念願している。多数の部会員の参加を期待したい。
 
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